名探偵に薔薇を (創元推理文庫)



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名探偵に薔薇を (創元推理文庫)
名探偵に薔薇を (創元推理文庫)

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おもしろい

二部構成の作品です。前半は完全犯罪を可能にする毒にまつわる事件。トリックもよく練られていながら単純であり前半部分だけでもよく売れてる推理小説と同等かそれ以上に楽しめる。

そして第二部。第一部がすべて第二部のためにかかれたことに気付かされます(実際第二部の方が先に完成しておりそれに第一部を加筆した)。審査員の評価ではすでに使われたことのあるトリックの使用がマイナスに見られていますがトリック云々より名探偵であることの苦悩がひしひしと伝わってくるタイプの小説です。

なかなかいい小説でした。
名探偵とは何か

名探偵を、有名な私立探偵、と定義するなら、明智小五郎や金田一耕助
などにしか当てはまりません。
実際は、この定義に当てはまらない、「名探偵」がいくらでもいるわけです。
また、星影龍三などの、一時期には私立探偵をやっていた、とされる、
微妙な存在もいます。
そんななかで、本作に登場する、瀬川みゆきも微妙な存在と言わなけれ
ばならないでしょう。
彼女は、第一部では、大学生として現れるからです。
しかし、第二部では、どうやら、探偵的な活動を生業としているようで
す(明記されてはいない)。
ですが、それ以上に、彼女は本質的に、名探偵として規定されているよ
うなのです。
詳しいことは本書を参照してほしいのですが、この名探偵観を知る事は
『スパイラル』などの他作品を読解する際にも、きっと役立つことでし
ょう。

知ることの不幸

 小人地獄。無味無臭にして、一度体内に入れば何の痕跡も残さず速やかに死に至らしめる毒薬の名。著者はこの毒薬を道具として、名探偵の苦悩を描いた。
 本書は二部構成になっており、第一部では小人地獄の由来と威力が示され、読者にとっての”現実”として小人地獄の存在を印象付ける。第二部では、第一部で得た知識が謎解きの前提として活用されている。
 本来ならば起こるはずもない殺人。一つの事件の動機が明らかにされるとき、また一つの不幸が訪れる…
 謎はすっきりと解き明かされるかもしれませんが、読者の心に爽快感が訪れるかは自明ではありません。
哀しみの名探偵故の物語。

ダイヤモンドは言わずと知れたこの世で一番堅い物質。
しかし、それ故圧力が掛かった時に、その力を分散できずにすぐに砕けてしまう。
つまり堅い強い物質ほど脆いものなのだ。
この作品の探偵役『瀬川みゆき』。この人物もそんな存在だ。
天性の才能が有りながら、その過去、その運命に翻弄され苦悩しもがき続ける様子が、ありありと描かれている。
苦悩故の天才。
天才故の苦悩。
それが読む者の心を揺さぶる作品である。

中身は一部作の『メルヘン小人地獄』、二部作が『毒杯パズル』の二部構成。『メルヘン小人地獄』の猟奇的な事件を受けて、その数年後に起こった事件として『毒杯パズル』が描かれている。
一部作が基盤となって、二部作がそれを受けて逆転に次ぐ逆転を見せる誰にも予想できないような結末を迎える推理劇。
けれども、それですらラストの天才『瀬川みゆき』の壮絶なる苦悩の描写を引き立てるアイテムでしかない。
読み終わった後に、あなたは何を感じるだろうか?
悲愴であり悲壮美も感じる物語

最初は冬休みの暇つぶしにと思い、この本を読みました。
私は小説はあまり読みませんし、この本もマンガ『スパイラル』の城平さんの作品だからという理由で読んだのですが、じつに面白いです。
物語の中の季節も冬なので、今の時期に読むのがいいかなのとも思います。
内容は二部構成で、第一部は猟奇的ですこし怖い事件でした。しかしこれは第二部の序章のようなもので、この第二部に全てが集約されていると思いました。
また私はこの物語の探偵である「瀬川みゆき」私淑の念を懐きました。哀しさがあり、優しさがあり、勇ましさのあるこの人物に対して言葉では表せない感情が湧いてきました。
私のような素人の読者がとやかくと語ってるのを聞くより、まず読むのがベストだと思います。読んだ人にはこの物語の素晴らしさがきっと解ると思います。



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